理解できない天才 パブロ・ピカソ

天才ピカソ

天才の経歴

ピカソはあまりにも多作なため、それぞれの時代と代表作だけをピックアップする。

1881年0歳:スペインに生まれる
1901年20歳:青の時代 『人生』
青色を基調とした作品の数々。親友の自殺の悲しみがきっかけなのか時代背景がきっかけなのかは定かではないが、暗く悲哀に満ちた作品が多い。

1905年24歳:バラ色の時代 『サルタンバンクの家族』
新しい恋人のおかげで精神的に安定したのか、作品に赤系統の色が使われはじめる。この時期は道化師や軽業師を好んで描いており「サーカスの時代」とも呼ばれる。

1907年26歳:キュビズム 『アヴィニョンの娘たち』
セザンヌからの流れを受けてピカソやブラックによって誕生したキュビズム。これまでの絵画手法とは全く違った
手法が生まれた。

1917年36歳:新古典主義 『安楽椅子のオルガ』
キュビズム作品に並行する形で、原点回帰のように描かれだした新古典主義の作品。ただ、これまでの写実主義とは明らかに違う写実と抽象の融合したような作品が描かれている。

1925年44歳:シュルレアリスム 『三人のダンサー』
シュルレアリスム(超現実主義)芸術運動の時代の作品。シュルレアリスムとは、一言で言うと“無意識”の芸術。夢の光景や自分の意志で描かないなど芸術家たちが様々な画法を試していた。

1937年56歳:『ゲルニカ』
1973年91歳:死去

天才の幼少期

ピカソの幼少期に関しては、当時の作品を見るのが一番その天才性がわかる。


1892年11歳:picasso museum


1895年14歳


1897年16歳:picasso museum

天才なところ

ピカソは、ギネスブックに載るほどの作品を制作した。その数は、油絵13,500点、版画100,000点、挿絵34,000点、彫刻・陶器300点。量産するだけであれば場合によっては可能かもしれないが、ピカソの遺産評価額は7500億円にものぼったというから、その価値は誰もが認めていたと言っていいだろう。
そして、なんといっても一番は、キュビズムという革新的な芸術表現を作り出したことだろう。

ピカソの良さがわからない理由

ピカソは、すごいすごいと言われるけど、実際その良さがわからないという人は多い。むしろ、わからない自慢が多い気がする。(笑)その理由は、キュビズムとシュルレアリスムの作品群にあると思う。

ピカソのすごさ

ピカソのすごさは、論理的に捉えると下記のような階層に分かれると思われる。※あくまでも私見です。

1段階:子供の頃から天才的

子供の頃に書いた絵がすごい。だから延長線のものはわからないけど、子供の頃から天才な人が突き詰めた絵なんだから、きっとすごいんだろう。

2段階:キュビズムを産んだのがすごい

キュビズムは、近代美術の父とも呼ばれるセザンヌの影響を受けて生まれた手法である。それまでの芸術作品は、カメラがなかったからということもあってか、写実的で、一点透視図の構図で描かれた写真のような瞬間を捉えた手法が良しとされた。それは、あくまでもその絵を捉えたものでしかなく、ものすごく簡単に言うと、横や後ろがどうなっているかがわからない。キュビズムでは、描くものを多面的に捉え、正面からの見え方や横からの見え方が、合わさって表現されている。これまでは写真のようにしか残せなかった絵画に、色んな意味を含ませられるようになった。

例えば、ほんとうにざっくりいうと、サイコロを写実的に描くと多くて3面しか描けないが、キュビズムでは6面とも描けるとか。

3段階:ピクトグラムや漢字のような究極のシンプル表現

絵に色んな意味を含ませるということだけで言えば、ダ・ヴィンチ・コードの様な暗号化もあったと思う。暗号化という表現でまとめることも出来るが、キュビズムのすごさは、多面性を究極にシンプルな形にまとめたことだろう。

ピクトグラムや漢字のように、それ自体は対象とは似ても似つかないが、それを見ればたしかにそれ(対象)だとわかるということだと思う。(恥ずかしながら私にはわかりませんが…)

これ以上の良さやシュルレアリスムに関しては、簡単に説明できるほど理解ができていないので、気になる方は色々とお調べくださいませ。

まとめ

ピカソの天才性とは、その天才性がわからないということでもあると思う。ただ、高額で売買されていたことなどが、感覚的にその権威性を高め、私たち一般人と乖離していったのだったとしたら、少し残念な気もする。ただ、下記の対談で横尾忠則さんが仰っておられるように、私たちが到底理解できない大天才も、やっぱりただの人だったんだと思うと、逆にそのすごさがわかる気がする。決して理解があたっているのかはわからないが、芸術の可能性を90歳になるまで子供のように追い求め、同時に子供のように表現する方法まで突き詰めたんだとしたら、そのすごさが少し理解できたような気がしないでもない。大人になればなるほど、今の自分を否定するのは難しくなるものだ。
「誰でも子供のときは芸術家であるが、問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかである」
「ようやく子どものような絵が描けるようになった。ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ」

 

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